このたびTerramaster様から提供をいただきまして、D5 Hybridを実機レビューさせていただきます。
今回の製品はとても興味深い製品で、見た目は2ベイのHDDケースですが、内部に3つのNVMe SSDスロットがあります。
さらに10Gbpsの速度で接続が可能となっています。
実際に使ってみて、良い点も更に改善してほしい点もわかりやすかったので、それを皆さんと共有したいです。
D5 Hybridの機能やスペック
- 3.5インチ/2.5インチベイ×2と2280 NVMe SSDスロット×3を搭載
- TPC Backupperソフトが無料で付属?
- WindowsやMacOS、Ubuntu等に対応
- 3.5インチ/2.5インチベイ×2のみRAIDに対応
- 消費電力は30W?
なお、D5 Hybridは10Gbpsの速度でデータのやり取りが可能です。
安価なDASは5Gbpsのものもあるので、それに比べれば速いです。
一方で、より高速な速度のDASの場合、USB 3.2 Gen 2×2等の場合20Gbpsで、Thunderbolt4等の場合40Gbpsなどで高速なデータ転送が可能です。
NVMe SSDを搭載しているのであればより高速なデータ転送に対応していても良かったかもしれません。
SSDのRAIDについて
3.5インチベイに2.5インチのSATA SSDを搭載すれば、SSDでもD5 Hybrid側でRAIDを組めます。
D5 Hybridの使用感
開封や付属品
付属品としては、電源ケーブルやUSBケーブルなどがありました。
RAID機能をチェック
HDDは本体後ろのロータリースイッチ?などと呼ばれているらしいまいなすどらいばーで回すタイプのスイッチでRAIDモードを切り替えられます。
HDDのRAIDモードはシングル、JBOD、RAID1、RAID0です。
一方で、SSDのRAID設定についていろいろと調べたところそのような情報はなかったので、おそらくケース側でSSDのRAIDには対応していないものと思われます。(担当者様からご連絡をいただきました。シングルモードのみとのことです。)
これは若干困りました。おそらくPC側でRAIDに対応させなければいけないものと思われます。
RAIDについて
担当者様曰く、Windowsの純正ソフトウェアでは外付けデバイスにRAIDを構築することはできないとのことです。
電源連動の有無をチェック
HDDドライブ等をPCに接続するとPCのオンオフにそれぞれ連動してHDDドライブがオンオフする機能がある場合があります。
D5 Hybridでも其のような機能がないか探しましたが、Ubuntuではそれを確認できませんでした。
電源連動機能があったほうが、自動でDASをオンオフできるので、ここはD5 Hybridの欠点と言えなくもないです
逆に、PCを起動してもDASは起動させたくないような場合は、それはそれでメリットだと思います。
訂正 スリープモード自体はあるとのこと
担当者様から確認したところ、DASのスリープモードと連動させる機能はあるとのことです。
実際にチェックしたところ、Windowsでは電源連動機能を確認できました。
NVMe SSDの取り付けについて
NVMe SSD用の取り付けネジは手で回すことができます。
NVMe SSDのねじ回しって結構たいへんで、よくネジがドライバーの先から外れたりして七面倒ですよね。
しかしこのD5 Hybridの場合はシンプルに手で回すことができ、とても簡単です。
D5 HybridをWindowsで使ってみた
Windowsの標準機能ではD5 HybridのSSDのRAIDを組むことが難しそう
少なくとも筆者が調べた限りでは、D5 HybridのSSDは外付けストレージとなるために、RAIDの設定に対応していないとのことです。
サードパーティ製のソフトを使えばRAIDを組むことは可能らしいですが、少なくとも標準機能では難しそうです。
速度チェック
Windowsで行った速度チェックの結果がこちら。
まずはD5 Hybridにテキトーな3.5インチのHDDを搭載してRAID0を構築し、Crystaldiskmarkで書き込ませた結果がこちら。
2つのHDDををRAID0にして構築した場合の速度としては十分に出ています。
続いて、D5 Hybridにエッセンコアクレブ C710を1枚搭載してテストした結果がこちら。
D5 HybridをUbuntuで使ってみた
筆者はMinisforum MS-01にUbuntu Desktopを導入してファイルサーバーとして使用しています。MS-01を用いてD5 Hybridの動作をチェックしてみました。
UbuntuではSSDのRAIDを組めそう
Ubuntuでは外付けストレージのRAID構築二対応しているらしいです。
筆者はCUI苦手なので、GUIでなんとか構築できないものかと悪あがきをしたもののいい情報が見つからず、CUIを使ってコピペでRAIDを構築したらあっさりうまくいきました。
結果として、C710を3本RAID0で構築することができました。
速度チェック
上記のRAID0のSSDにUbuntuから直接KDISKNMARKを走らせた結果がこちら
上記のRAID0のSSDにWindows側から2.5GBE接続でCrystaldiskmarkを走らせた結果がこちら。
注目したいのが上から4番目のランダムアクセスの速度です。NASにDASを接続すると速度が落ちやすいのですが、そこそこの速度が出ています。
などと考えていたのですが、ネットを調べるとUbuntuは物理メモリをキャッシュとして使う設定になっているらしいです。面白いですね。
となれば、メモリキャッシュが使われた可能性があります。そこで、64GBに変更したうえでチェックした結果がこちら。
左程変わらなさそうですね。
USBの接続について
USBの接続が2.0になる場合があるようです。
其の場合はUbuntu側を再起動させればUSB3.0となるようです。
また、CUIでの表示が2.10となる場合もありますが、其の場合も10Gbpsで接続が可能でした。これは何に起因するんもかわかりませんが。
ホットプラグには非対応で、それが原因かも
担当者様いわく、D5 Hybridはホットプラグには非対応とのことです。筆者はD5 Hybridをかなりラフに扱って動作チェックしていたので、それがUSB2.0になった原因かもしれません。
D5 Hybridのメリット
5つのストレージを同時にPCやNASに接続できる
D5 Hybridのメリットは5つのストレージを同時に接続できることです。
ケーブル一本でHDDもNVMe SSDも接続が可能です。
また、頻繁にアクセスはしないものの大きなファイルを保存する場所としてHDDを、頻繁にアクセスするファイルを保存する場所としてSSDを使うようにして使い分けることが可能です。
ミニPCをファイルサーバー的に使う場合の使い分け
其のような場合なら、高速なSSDにデータを保管して、其のバックアップをHDDに取るという使い方も面白そうだと感じました。
3万円程度の安価な価格設定
RAID0を構築可能な3.5インチ×2のHDDケース(5Gbps)は1万円程度します。
また、NVMe SSDの10Gbpsケースは2000円程度で、3つ買うなら6000円でしょうか。
それらをまとめてコンパクトにした、と考えれば3万円でも十分に安価だと思います。
PC側で専有するUSBポートも1つで済むわけですし。
比較的かんたんにストレージの脱着が可能
3.5インチのHDDならネジなしで取付可能です。
また、NVMe SSDもドライバーレスで取り付けが可能なので、簡単です。
なお、NVMe SSDのスロットにアクセスするためには、本体裏側のネジを2つ外す必要があります。おそらく推奨はされないと思いますが、NVMe SSDを頻繁に脱着するなら、その2つのネジを外しておくというのも面白いかもしれません。推奨されませんが。
D5 Hybridのデメリット
電源が内蔵されていない
電源が内蔵されておらず、電源ケーブルが大型になってしまうのは若干のデメリットです。
D5 Hybridのその他のポイント
NVMe SSDはRAID機能がない
NVMe SSDにはRAID機能がなく、RAIDを組むなら接続するPCなどで設定をしなければなりません。
それによって、Windowsなどで使う場合にはRAIDの構築が難しそうに感じました。
ただ、SSDのRAIDは人によってはさほど使わない機能だと思いますし、RAID機能をつけて値段が高くなるくらいならこのままでも良い気はします。・\
SSDキャッシュ機能はない
これもあくまでもあっったらいいな的な機能なので必ずしも必要ではないですし、そもそも論DASにSSDキャッシュ機能があるものなんて聞いたことがないので(筆者の場合)、あれではありますが。
HDDにNVMe SSDキャッシュをつけれたら面白いなあとは思いました。
10Gbpsという速度
接続速度は10Gbpsです。
個人的には10Gbpsで十分だと思いますが、人によっては20Gbpsや40Gbpsでのデータ転送が必要な場合もあるとは思いました。
感想とあとがき
感想、メインPC用の外付けストレージとして良さそう
動画編集など大量のデータを扱ったり保管したりするためのストレージとして使い勝手が良さそうと感じた一方で、D5 Hybrid側でNVMe SSDのRAIDを構築できないために、NVMe SSDのRAIDを組んだ状態で複数のPCでDASを使い回すということが難しそうです。
そのため、複数のPCで使い回すというよりは、一つのPC用のデータ保管庫として使うのが効果的だと考えました。
例えば動画編集やクラウドストレージのバックアップなど用のデータ保管には使いやすそうです。
動画編集用のDASとして使うなら?
例えばWindows PCとD5 Hybridを組み合わせて動画編集をする場合のD5 Hybridの使用方法について考えてみます。
Windows PCのストレージが乏しく、かさばる動画素材を起きづらい場合、D5 HybridのSSDに保存しておくという手もあります。
また、Windows PCの設定やD5 HybridのSSDに保存した動画素材や動画をD5 HybridのRAID1を構築した2つのSSDに保存しておくという手もあります。
意外と使い勝手良さそうですね。
自作NAS用のDASとしても良さげ
その他に思いつく用途としては自作NAS用のストレージですね。
ミニPCなどをNASやファイルサーバーなどとして運用する場合があると思うのですが、基本的なミニPCでは内部に3.5インチHDDを搭載することは難しいと思います。
また、NVMe SSDの接続枚数も制約があると思います。
それでもストレージの接続台数を増やしたい場合に良いかもしれません。
あとがき
参考になれば幸いです。
D5 HybridのRAID0でデータが2回消えました。
2回データが消えました。2回目はちょうどNASをバックアップして、NASのデータをクリーンアップして、いざデータを戻そうとしたタイミングでデータが消えました。とても悲しかったです。
なので、今度はRAIDを使わないで運用します。