この記事では、実際のミニPCのベンチマークや動作テストに基づいて、Apple M4とハイエンドモバイル向けCPUなどの性能を比較していきます。
なお、データのうち面白そうなものだけグラフ化しております。本記事のグラフは試験的に無断転載歓迎としております。(できれば引用元を掲載してくれると助かります。)
また、M1とM4の比較については、M4 Mac miniのレビュー記事でも触れております。
記事の注意点
- この記事で使用しているApple M4 Mac miniは自費で購入したものですが、GEEKOM GT1 Mega、A7、A8は以前GEEKOM様よりレビュー用に提供を頂いたものになっています。当記事はPR記事ではありませんが、念の為記載しておきます。
- また、CPUはPCメーカーのチューニング等によっても性能や消費電力などが変わってきます。今回のデータはあくまでも一例として御覧ください
- また、1年以内にとった過去のデータを流用している場合もあります。
- また、一部のテストではM4とCore Ultra 7 155Hのみを比較している場合があります。
使用したPCについて
使用したPCは以下のようになっています。
- M4→M4 Mac mini(16GBあるいは24GBメモリ(CB 2024 GPUテストを除いてメモリの差がベンチマークやテストの差にあまりつながらないので、要所要所で使い分けています。))
- Core Ultra 7 155H→GEEKOM GT1 Mega(32GBメモリ)
- Ryzen9-7940HS→GEEKOM A7(32GBメモリ)
- M1→M1 MBA(7コアGPU)(16GBメモリ)
- RTX2060 6GB→ガレリアゲーミングノート
なお、A7はCPUの性能が出し切れていない傾向ですが、コレも一例ということでよしなに。
CPU系ベンチマーク
Cinebench R23 (M4 VS 155H VS 7940HS)
定番CPUベンチマークのCinebench R23の比較です。
CinebenchR23 | M4 | 155H | 7940HS |
シングル(単発or10分) | 2253 | 1729 | 1796 |
マルチ(単発) | 13513 | 17284 | 12111 |
マルチ(10分) | 13279 | 17310 | 12844 |
M4はシングルが高いですが、マルチでは155Hのほうが高い傾向にありますね
Geekbench 6.3.0 CPU(M4 VS 155H VS 7940HS)
Geekbench6 | M4 | 155H | 7940HS |
CPU シングル | 2359 | 2379 | 2621 |
CPU マルチ | 7887 | 12884 | 13105 |
これはシングルは横並びで、7940HSが若干高い傾向を示しました。
一方マルチでは155H、7940HSが高い傾向にあります。
CPUベンチマークのテスト結果をグラフ化しました。※試験的に無断転載歓迎としております。
GPU系ベンチマーク
Geekbench 6.3.0 Open CL (M4 VS 155H VS 7940HS VS RTX2060 6GB)
参考のためRTX2060 6GBを搭載したノートPCのOpenCLスコアも掲載しておきます。
M4 | 155H | 7940HS | RTX2060 | |
GPU OpenCL | 37515 | 33399 | 32594 | 74823 |
こうしてみるとGPU性能においては、M4、155H、7940HSはほぼ横ならびと見ていいですね
参考Cinebench 2024 GPUテスト M4 VS M1 VS RTX2060 6GB(ノート)
Cinebench 2024 GPU | M1 | M4 | 2060 6GB |
単発 | 1217 | 4037 | 4144 |
10分間 | 1210 | 3904 | 4118 |
Cinebech 2024 GPUテストにおいてはなぜかM4と2060 6GBのスコアが横並びとなりました。なぜ。
AI系ベンチマーク(GPUとNPUだけ)
GEEKBENCH AI 1.1.0を使って、GPUやNPUのAI性能を測定しました。
Geekbench AI 1.1.0 iGPUとdGPU編
こんな感じです。
※OV=OpenVINOの略
単精度 | 半精度 | 量子化 | |
7940HS ONNX DirectML | 7680 | 11077 | 5410 |
155H ONNX DirectML | 3381 | 7103 | 2499 |
155H OV GPU | 7432 | 11123 | 16471 |
M4 CoreML GPU | 9334 | 10660 | 9662 |
2060 ONNX DirectML | 9086 | 15007 | 6398 |
Geekbench AI 1.1.0 NPU編
※OV=OpenVINO、NE=Neural Engineの略
Geekbench AI1.1.0(NPU編 | 単精度 | 半精度 | 量子化 |
155H OV NPU | 2812 | 8180 | 11907 |
M1 CoreML NE | 3206 | 16517 | 16215 |
M4 CoreML NE | 4739 | 36750 | 53190 |
グラフに直すと、M4のNeural EngineのAI性能の高さがわかりますね。
動画エンコード時間比較
DaVinci Resolve 4K30FPS 33分程度の動画とFHD30FPS 19分程度の動画のエンコードにかかる時間を計測しました。
動画エンコード | 4K30FPS37min | FHD30FPS19min |
7940HS | 26:23 | 5:52 |
185H | 18:08 | 4:54 |
M1 | 20:01 | 3:04 |
M4 | 18:14 | 2:36 |
FHD動画についてはM4が最速でした。
一方で、4K動画については185HとM4が同じくらい速いです。
ただ、4Kのエンコードでは185HはGPUをフル活動させていたようですが、M4はGPU使用率が最大でも半分程度になっていたようなので、設定変更やアップデートで改善できる可能性もあります。
Stable Diffusion【M1 VS M4 VS 155H VS RTX2060 6GB】
Stable Diffusionの画像生成時間を比較します。
条件
- 512×512、20ステップ、DDIM ・アニメ系モデルを使用
- 5枚の画像の生成時間を計測
- Apple SiliconはDrawthings、CoreはOpen Vino入StableDiffusion、RTXはForgeを使用
- プロンプトは3語、ネガティブプロンプトはbad_prompt_version2,flat color, flat shading,retro style,bad anatomy,long_body,mutated hands,missing
生成時間(秒) | |
M1 | 79 |
M4 | 44 |
155H | 75 |
RTX2060 | 21 |
M1や155Hの半分程度、RTX 2060 6GBの2倍程度の時間でM4は生成ができています。結構速いですね。
記事のまとめ
まとめ
- CPU性能においては、全体的にM4は155Hや7940HSミニPCに比べると劣る傾向。ただし、Cinebench R23シングルではかなり高め。
- GPU性能としては、Geekbench6.3.0のOpenCLにおいて、M4、155H、7940HSは横並びで、いずれも2060の半分程度となっていた。
- Geekbench AI1.1.0においてNPUのAI性能は、M4はM1や155Hのそれを大幅に上回った。
- DaVinci Resolveのエンコードでは、FHD30FPSの動画ではM4は155Hや7940HSなどを下回る速度で、高速にエンコードできていた。一方4K30FPSの動画では155Hや7940HSなどと大差がなかったが、M4のGPU使用率は最大でも半分程度となっていて、さらなる最適化や設定の変更で大幅に高速化するポテンシャルがありそう。
- StableDiffusionでの画像生成では、M1や155Hの半分程度、RTX 2060 6GBの2倍程度の時間で生成が完了した。
あとがき
参考になれば幸いです。
おまけ M4 Mac mini VS 155HミニPC CPUフル稼働時消費電力比較
M4 Mac miniと155HミニPCとで起動中かつ低負荷時と、Cinebench R23のマルチを回した、とりもなおさずCPUをフル稼働させた際の消費電力のデータがあったので、比較します。どちらも接続する機器はUSB接続のマウスとキーボード、HDMI接続のモニターとなっていて、M4 Mac miniのみUSBハブを追加で接続していたはずです。
M4Macmini | 155HミニPC | |
低負荷の起動時 | 7~8W | 11W程度 |
CPU100% | 35~36W | 89~92W |
厳密に計算したらM4のワッパがすごいことになりそうだなとおもいました…。以上です。