なお、この記事は2023年4月ごろに検証し作成した記事となっております。
それ以降、実機に基づくデータの追加は行なっておりません。
この記事では、M1とRTX搭載のPCとでStable Diffusionの比較をしていきます。
Stable DiffusionではRTXやGTXなどのNVIDIAのグラボがよく使われており、高画質かつ大量の画像を高速に出力できてしまいます。
なので非常にNVIDIAのグラボが人気なのですが、そのほかのハードウェアでもいろいろとあり、特にM1チップやM2チップを搭載したMacやiPadでもそこそこの速度でなおかつ省エネルギーに画像を出力できます。
ここで気になったのが、電力消費が激しいものの高速に画像を出力できるNVIDIAグラボ搭載のPCと、極めて省エネルギーであるものの速度が比較的遅いM1チップ搭載のMac、果たしてどちらがより効率よく画像を出力できるのか?
また、初期投資の金額なども気になるポイントですね。
そこで、この記事ではTwitter上の知人のKさん(おそらく寺生まれではない)に多大なるご協力をいただいて、この2つを比較していきます。
記事の注意事項
記事上の注意事項について
2023年4月14日時点での比較となります
2023年4月14日時点での比較となります。
Stable Diffusion自体が軽量化したり、仕様が変わったりする場合なども考えられます。
あくまでも現時点での参考程度にしてください。
可能な限り公正にしていますが、100%は無理です
可能な限り公正な条件にしていますが、結構相違点があります。
なので、完璧な比較にはなっていません。
比較について
あくまでもKさんのPCは一例です。
より高い性能とエネルギー効率なPCの場合、もっと初期費用がかかるでしょうし、その逆もありえます。
前提条件について
各種設定
各種設定はこんな感じです。
モデル | 美少女系のモデル |
生成回数 | 10 |
Batchsize | 1 |
合計枚数 | 10 |
Steps | 25 |
Sampler | DPM++ 2M Karas? |
IMage Size | 512×512 |
- プロンプトはKirisame Marisa、masterpiece、highly detailed
- ネガティブプロンプトはbad_prompt_version2,flat color, flat shading,retro style,poor quality,bad anatomy,としています
追記、よくよく考えればNMKDでサンプラーDPM ++2M Karrasは選べなかったはずなので、別のサンプラーで計測した可能性があります。
機種のスペックの比較
KさんPC | M1 Macbook Air | |
CPU/SoC | i7-4790K | Apple M1 |
TDP | 88W | 15.1W |
Passmark | 約8000 | 約14000 |
メモリ | 32GB | 16GB |
GPU | RTX2070Super | |
Vram | 8GB | |
環境 | NMKD | Draw Things |
OS | Windows | MacOS |
こんな感じです。
それぞれの消費電力の計測方法
まず、KさんのPCについてはデスクトップなのでワットチェッカーで普通に計測していただきました。
しかし、M1 MacBook AirはノートPCなので満充電状態に持っていってから計測しました。
実機比較
ということで、計測していただきました。
Kさんのマシンについて
Kさんのけいそくじかんはこちら
約75秒で、1枚あたり7.5秒という高速さでした。
一方で、Kさん曰くCPUは54W程度、GPUは195W程度とのこと。合計で249Wとのことです。
1枚の生成に必要な電力量は7.5秒×249W=
M1 MacBook Air 16GBメモリの速度
1枚目 | 22 |
2枚目 | 43 |
3枚目 | 1:05 |
4枚目 | 1:26 |
5枚目 | 1:48 |
6枚目 | 2:09 |
7枚目 | 2:30 |
8枚目 | 2:52 |
9枚目 | 3:13 |
10枚目 | 3:35 |
1枚あたり | 21.5秒 |
平均W数 | 18W未満 |
比較
結果としてこのようになりました。
秒数 | 電力 | 電力量 | |
KさんPC | 7.5s | 249W | 1867.5Ws |
M1 MacBook Air | 21.5s | 18W | 387Ws |
M1 MacBook AirがKさんのPCに5倍程度の電力効率を出していました。
やっぱりM1強いですね
比較その② M1 VS Ryzen+RTXゲーミングノート
次の比較は、M1とゲーミングノートです。
ゲーミングノートの中にはNVIDIAのグラボを搭載したものが数多くあります。
その上でゲーミングデスクトップよりも省電力なものが多いです。
とくにCPUは、TDPが低めなものが多いため、省電力ない傾向があると想定できます。
それに場所を選ばず置くことができます。
そのようにゲーミングPCを選んだ記事はこちらとなっています。
比較条件
条件はこちら
M1 MacBook Air | ゲーミングノート | |
CPU/SoC | Apple M1 | Ryzen7-4800H |
Passmark | 14000 | 18800 |
コアスレッド | 8C8T | 8C16T |
メーカー | Apple | AMD |
TDP | 15.1W | 35W、45W、54W |
メインのGPU | 7コアGPU | NVIDIA RTX2060 |
専用VRAM | なし | 6GB |
メモリ | 16GBユニファイド | 16GB DDR4 3200MHZ |
それと、価格はM1 MacBook Airの16GBモデルは中古相場11万円、ゲーミングノートは8万円でした。
モデル | 美少女系のモデル |
生成回数 | 10 |
Batchsize | 1 |
合計枚数 | 5 |
Steps | 20 |
Sampler | DDIM |
IMage Size | 512×512 |
- プロンプトは、masterpiece,highres,clothes
- ネガティヴプロンプトは、bad_prompt_version2,flat color, flat shading,retro style,poor quality,bad anatomy,としています。
- M1 Macbook AirはDrawthingsを、ゲーミングノートはNMKDを使って測定しました。
これらの条件で、5枚生成して1枚あたりの平均の生成時間を出し、おおよその平均的な消費電力を測定し、消費電力量を算出します。
消費電力はワットチェッカーで測定しています。
両者共にノートPCであるため、設定をいじって満充電の状態で充電しながら、その充電器を測定することで充電器の消費電力≒ノートPCの消費電力となるようにしています
測定結果
測定結果はこちら。
まずは、測定時間です。これは圧倒的でした。
M1 MacBook Air | ゲーミングノート | |
1枚あたり生成時間 | 18秒 | 5秒 |
ほぼ4倍程度の差が出ました。やっぱりNVIDIAとStable DIffusionの相性は最高ですね。
つづいて、消費電力です。
M1 MacBook Air | ゲーミングノート | |
1秒あたり消費電力(概算) | 18W | 123W |
これはApple siliconの消費電力が卓越していますね。6倍以上省エネです。
そして、1毎あたりの消費電力量がこちら。
M1 MacBook Air | ゲーミングノート | |
概算消費電力量 | 324Ws | 615Ws |
そうなのです。ほぼ2倍です。
M1 MacBook Airは1秒あたりの消費電力も、1毎あたりの消費電力もNVIDIAグラボ搭載のゲーミングノートより上という結論に至りました。
ただ、消費電力こそM1 MacBook Airの方が有利ですが、生成速度やパソコンの価格はNVIDIAグラボ搭載PCの方が有利です。
また、WindowsのほうがStable Diffusionの代表的な環境であるWebUIを使えます。(Macでも使えるようです。)
どちらを選ぶべきか?
大量に画像を生成したかったり、さまざまな設定項目をいぢくりまわして居たりするのであれば、NVIDIAグラボを積んだPCのほうがおすすめです。
確かにM1 Macがほぼ2倍というランニングコストの低さを誇る一方で、そこまで電気代は(めちゃくちゃに長い目で見ない限りは)差がないはずなので。
ただ、電気代をけちりたい方や、家のブレーカーが頻繁に落ちるような場合であれば、消費電力が少ないM1 Macの方がおすすめな印象です
あとは手持ちにある方で判断した方がいいかと思います。
例えば動画編集やブログ執筆などでM1 Macを持っている場合は、それを使って画像生成をすればいいでしょうし、
ゲームや動画編集のためにNVIDIA搭載PCを持っているばあいなら、そちらを使えばいいと思います。