Terramaster様より提供をいただいてF2-212を実機レビューします。
Terramasterさんは中国に本拠地を置くNASメーカーで、日本でも低廉な製品を多数販売しています。
筆者も以前中古でF5-422を自費で購入し、愛用していました。
そのような折、Terramasterさんよりご連絡をいただき、こちらの商品を提供いただける運びとなりました。感謝感激雨あられです。
F2-212の特徴は必要最低限の機能となかなかの省電力性能、そして低廉な2ベイNASである点の3つです。
SoCはArmベースで、メモリは1GB、LANポートは1つだけで、かなり性能や拡張性は控えめではありますが、最低限使えます。
逆に言えばとりあえず安いNASを試してみたいという人にはなかなかな選択肢の一つではないかと思います。
実機テスト
様々な実機を用いたテストです。
開封
開封してみます
ACアダプタは39.96Wとなっています。
インターフェースはこんな感じ。
電源は裏側にあります。
本体の手触りは少々べたつきを感じます。
内部はこんな感じ。
机に置いてみました。
速度テスト
速度テストとして、こんな感じの環境を作りました
MacのBMDSやWinのCrystalDiskmarkなどを用いて速度チェックをします。
F2-212側はすべからくRAID0です。
初期設定
初期設定は手子摺りました。
HDDを接続するなどしてユーザー名やメールアドレスを打ち込む画面が出てきたら、TNASアプリから再度このF2-212にログインし、その画面からユーザー名やメールアドレスを打ち込みましょう。
また、HDDを2つ搭載している場合、最初に無条件でTRAIDが組まれます。
RAID0やRAID1を組むには、いったんTRAIDを削除する必要性があります
消費電力について
NASは長時間稼働させるモノなので、消費電力も気になりますよね。
さすがはArmベースといったところか、HDDを取り付けていない状態では3W程度しか電力を消費していないようです。
また、HDDを2つ取り付けてある一時点の消費電力を計測した限りでは、14W程度でした。
2.5GBEToUSBアダプタは使える?
少なくとも2つのことなるアダプタを試した限りでは、うまくつながりませんでした。
認識自体はしているようですが、なぜかうまくいきません。
今後のアップデートなどで接続が可能になる可能性もありますが、現状私の手持ちのアダプタはつかえなさそうです
メリット
ざっと使ってわかったメリットはこちら。
TerramasterのNASの中では最廉価
TerramasterのNASの中では最も安いモデルとなっています。
ちなみに他のQ社やS社のモデルも最廉価モデルは同じぐらいの価格です。
ArmベースのCPUで、とにかく省電力
あくまでも簡単に検証した限りですが、初期設定前にNASケースのみで消費電力を測定した場合は3W程度で、2つの3.5インチHDDを搭載した場合は15W程度でした。
NASは長時間つけっぱなしにすることもあるので、消費電力はなるたけ少ない方が良いですよね
1GBE運用なら十全な処理性能がある
このグラフは1GBEでデータを送付している際のCPUの使用率を計測したモノです。
最大でCPU使用率は72%となっていますが、まだまだ十分余裕があります。
少なくとも1GBEでデータをやりとりするだけなら、処理性能は十分だと思われます。
Timemachineバックアップやセキュリティ分離モードなどの機能も
TerramasterのNASはTimemachineのバックアップ先として指定できます。
また、セキュリティ分離モードという機能があります。
この機能はとてもざっくり言うと、NASをインターネットから遮断するなどしてセキュリティ対策をしまくるモードとなっています。
セキュリティに気をつけている人には良い機能だと思います。
3.5インチHDDの取り付けはねじいらず
3.5インチHDDの場合はドライバーでネジを回すことなくなめらかにスムーズに固定できます。便利です。
追記、Terramasterさんの担当者様によると以前の製品からくらべて改良がなされているのだとか。
確かに3.5インチHDDの場合は工具がいらないというのは便利ですよね。
また、Terramasterの担当者さんによると特許を取得されている最中とのことです。スゴイですね。
2ベイで、結構めにコンパクト
2ベイのNASとなっています。
4ベイのNAS等に、較べてコンパクトに仕上がっています。
スマホ向けアプリもあるとのこと
スマホ向けのアプリもあるとのことです。
実際にTNAS Mobile3をiPadに導入してみたところ結構便利でした。
筆者はStable DiffusionのモデルをTerramasterのNASに突っ込み、それをiPadに飛ばすことが多いのですが、TerramasterのNASのIPアドレスが変わったりして設定をし直さないといけないことがありはっきり言って面倒でした。
しかしTerramasterのNASなら自動でNASを見つけてくれるため、ユーザー名やパスワードがあればIPアドレスなしに入力可能です。
筆者はこのNASとは別のTNASの6GBぐらいのSDXLモデルをこのアプリを用いてiPadにダウンロードしたところ、途中まではうまくいきましたがクラッシュしてダウンロードできませんでした。
ここはちょっと微妙ですが、今後のアップデートに期待ですね。
また、担当者さんに確認した上で再チェックしたところ、6GBのファイルをダウンロードすると進捗が99%になった直後ぐらいでアプリが落ちましたが、2GBぐらいのファイルなら問題はありませんでした。
アプリのサイズにも依りますが、ある程度の大きさのファイルはTNASモバイルでいけそうですね。
デメリット
デメリットはこちらです。
筆者の2.5GBEアダプタが使えなかった
検証した限りでは、2.5GBEのUSBアダプタが使えませんでした。
これができないと100MB/s程度の速度しか出ないので少し気になります。
拡張性が低い
廉価なモデルなので仕方ないのですが、M2 SSDスロットや複数のLANポートなどを搭載していません。
そのため将来的にもっと上のモデルが欲しくなる可能性があります。
その他のポイント
その他のポイントはこちらです。
中国に本拠地を置くTerramasterの製品
Terramasterは中国のメーカーです。
筆者個人としては中国の通信機器についていろいろと調べて理解した上でTerramaster製品を愛用していますが、人によっては日本や台湾のNASを選んだ方が言い場合があるかもしれません。
あくまでも筆者にとっては問題ないと思います。
手触りが少々良くないプラスチック筐体
筐体はプラスチックで、少々べたつきを感じました。
静音性について
今回Terramasterの担当者さまから強く推された機能の一つに静音性があります。
Terramasterさんから紹介いただいた情報を元に静音性について記載していきます。
実際に使ってみた感想。
確かに静音性という観点から見ると2つのHDDを搭載しているのに静かだなと思っていました。
Terramasterさんの実験
TerramasterさんからF2-212の騒音テストの実験結果を掲載するように依頼されたので、二つ返事で了承しました。
以下のようなテスト条件でF2-212を計測されたとのことです。
- 2つのSATAストレージを使用して待機状態で計測
- テスト環境のノイズは17.3dB
- テスト距離は1mとのことです。
そして測定した騒音値は19.0dBでした。
ちなみに某メーカーの2ベイNASの製品の一つは騒音値が19.5~20dBの範囲内にありました。(正確な数値は念のため記載しません。)
F2-212の騒音対策
具体的にはHDDの振動を抑えるための特殊な障壁をいくつか搭載しているとのことです。
詳しいことはわかりませんでしたが、確かに音は小さめなので、うまくできている気がします。
個人的な評価
個人的にはちょっと微妙だと思いました。
エントリー帯だから2.5GBEは搭載されていないのですが、USBから2.5GBEに変換できるアダプタを2つ試して使ってみても接続ができませんでした。
なので、1GBEまでがボトルネックになってしまいます。
そのため、エントリーモデルで選びたい方は別のモデルの方が良いかもしれません。
しかし、Terramasterにはセキュリティ分離モードという期待度の高そうな機能がありますので、これが興味ある人は選んでみても良いかもしれません。
また、Terramasterさんはあと1万円程度出せばF2-223等も買えます。個人的にはそちらの方がいろいろと強力なので、こちらを選ぶんメリットは少々薄いがします。
但し、TerramasterさんのNASの中では最廉価とも言えるモデルなので、安いTNASを求めている方には良いかもしれません。
さらに静音性や省電力性などは優れたメリットなので、そういった点に惹かれる人は良いかもしれませんね。
あとがき
参考になれば幸いです。